FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
聖も、人の気配を感じて顔をそちらに向けた。
しばらくその影を凝視していたが──やがて、ホッと息をつく。
「李苑?」
「はい」
静かな呼びかけに、李苑は頷いて、聖の傍に寄った。
「眠れないんですか?」
「李苑こそ」
「……何だか、気が昂っているみたいで」
「俺も……」
聖はバルコニーの手摺りから眼下を眺める。李苑も同じように眺めた。
外に吊るされた提灯の橙の灯りの下、相変わらず術者達が忙しそうに往来している。
「……俺たち、休んでて大丈夫なのかな」
最初に邪空間が現れた時、圭一郎は『早く来て欲しい。結界は長く保たない』と言っていたはずだ。
こんな風に休んでいていいのだろうか。その懸念があったからこそ、聖は眠りにつくことが出来なかった。
「紅葉さんの話だと、今、圭一郎さんの息子さんが頑張っているそうなんです。紅葉さんに匹敵するくらいの凄い術者なんだそうですよ」
李苑は、穏やかな口調で語る。
「だから……心配しないで休みなさい、って。私達が倒れたら意味がないから、って」
「それは……そうなんだけど……」
聖は口ごもる。
そのことも心配だったが、一番の心配事は他にあった。
しばらくその影を凝視していたが──やがて、ホッと息をつく。
「李苑?」
「はい」
静かな呼びかけに、李苑は頷いて、聖の傍に寄った。
「眠れないんですか?」
「李苑こそ」
「……何だか、気が昂っているみたいで」
「俺も……」
聖はバルコニーの手摺りから眼下を眺める。李苑も同じように眺めた。
外に吊るされた提灯の橙の灯りの下、相変わらず術者達が忙しそうに往来している。
「……俺たち、休んでて大丈夫なのかな」
最初に邪空間が現れた時、圭一郎は『早く来て欲しい。結界は長く保たない』と言っていたはずだ。
こんな風に休んでいていいのだろうか。その懸念があったからこそ、聖は眠りにつくことが出来なかった。
「紅葉さんの話だと、今、圭一郎さんの息子さんが頑張っているそうなんです。紅葉さんに匹敵するくらいの凄い術者なんだそうですよ」
李苑は、穏やかな口調で語る。
「だから……心配しないで休みなさい、って。私達が倒れたら意味がないから、って」
「それは……そうなんだけど……」
聖は口ごもる。
そのことも心配だったが、一番の心配事は他にあった。