FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
十夜に見せられた幻。
 
あれは夢。
 
だけど現実。
 
そんな未来が待っているのに、どうして戦わなくてはならないのだろうか。いくら考えても答えは出なかった。


「……何か心配事ですか?」

「あ……いや……」
 
李苑に訊かれても、その不安を口に出す事は躊躇われた。

しかし……このままでいても何も解決しないことは解っていた。こんなモヤモヤな気持ちのまま戦いに出ても、きっと足手まといになってしまう。

「……不安、なんだ」
 
ポツリ、と言う。

「“運命”って、決まってるものだろう? だったら、何で戦うんだろう……未来は、決まっているのに」
 
二千年前と同じように、皆、消えてしまうのに…。

「そうでしょうか」
 
李苑の言葉に、聖は思わず彼女を見る。

「私は、“運命”は変えられると思います。未来は……自分の手で創っていくものです」

「だって……今まで変えようと思っても、変わらなかっただろう?」
 
自分達の前世は。
 
何度生まれ変わっても、同じ道を歩いてきた。

「今度こそ、変わります。……いえ、変えます。そのために生まれてきたんですから」

「──」

 
何のために生まれてきた?
 
何故、同じ道を辿ってまで、ここにいなければならない?

 
いつかの疑問が脳裏を過ぎる。


「大切なのは……何のために戦おうとしたのか。最初の気持ちです」


   
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