FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「……聖くん?」
 
李苑が小首を傾げるのを見て、聖はハッとする。

(ヤバイ! 何か意味も無く見つめてしまった!)
 
心の動揺は顔に出る。
 
恐らく耳まで真っ赤になっているだろう。……今が闇の中で良かった。心からそう思った。

「ご、ごめん……」
 
何故謝っているのかも良く解らないまま、謝罪する。

「はい……」
 
李苑も何故謝られたのか良く解らないまま、返事をする。
 
そこに冷たい風が吹き込んで、李苑は身を縮めた。

(あっ……シャツ貸してやれば良かった……)
 
彼女がキャミソールを二枚重ねただけの服装に今頃気付き、後悔する。

「邪空間の影響ですね。こんなに寒いなんて……」

「李苑、これ着てて」
 
と、シャツを脱ごうとする。

「駄目ですよ、聖くんだって寒いでしょう?」

「そっちのが寒そうだから……」

「駄目ですっ」
 
と、押し問答をしているうち、李苑の手をガッチリ掴んでしまった。至近距離で合う瞳。

「──っあ、ごめん」
 
パッと手を離し、謝る。
 
そんな彼を見て、李苑はようやく何故謝られているのか理解した。同時に、何だか可笑しくなってくる。

(戦っている時は、強引なのに)



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