FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
相手の返事も待たずに、手を握ったり、抱き上げたり。少しも顔色を変えずにやってしまう。それは無意識であるからなのだろうけども。
あの時と、平時とのギャップ。
ここまで意識されると“かわいい”とさえ思えてくる。
「それじゃあ、部屋に戻りましょう? 少しでも眠らないと」
そう言いながら、クスクス笑う李苑。それを怪訝そうに眺める聖。
「うん……」
何故彼女が笑っているのか理解できず、腑に落ちないまま返事をする。
「あ、李苑、ありがとな」
聖はもう一度礼を言う。
「いいえ」
李苑はそう言ってから……少し背伸びをした。そして、聖の頬に軽くキスをする。ちょっとした悪戯心もあったのかもしれない。
「……おやすみなさい」
軽くはにかんでそう言うと、李苑は部屋の中に姿を消した。
「……」
聖は呆然と立ち尽くす。
(え、えーと)
思考停止状態の頭で、何か考えようとした。
(ああ……そうそう、李苑って帰国子女だったよな)
修行中、李苑が誰かに話していた情報を、頭の片隅から無理やり引っ張り出した。
あの時と、平時とのギャップ。
ここまで意識されると“かわいい”とさえ思えてくる。
「それじゃあ、部屋に戻りましょう? 少しでも眠らないと」
そう言いながら、クスクス笑う李苑。それを怪訝そうに眺める聖。
「うん……」
何故彼女が笑っているのか理解できず、腑に落ちないまま返事をする。
「あ、李苑、ありがとな」
聖はもう一度礼を言う。
「いいえ」
李苑はそう言ってから……少し背伸びをした。そして、聖の頬に軽くキスをする。ちょっとした悪戯心もあったのかもしれない。
「……おやすみなさい」
軽くはにかんでそう言うと、李苑は部屋の中に姿を消した。
「……」
聖は呆然と立ち尽くす。
(え、えーと)
思考停止状態の頭で、何か考えようとした。
(ああ……そうそう、李苑って帰国子女だったよな)
修行中、李苑が誰かに話していた情報を、頭の片隅から無理やり引っ張り出した。