FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「……約束とは何だ」
真吏は焦りながらも、静かな口調で訊いてみた。
「お前らには関係ない」
そう応えたのは羅刹王の方だった。
「だってお前達はこれから、俺たちに殺されるんだからな」
「──えっ……」
疑問に思う暇はなかった。
夜叉王の剣が高く上がったかと思うと、そこから物凄い勢いで水の波紋が広がった。
自らの周りに結界を張ってもなお、それに弾き飛ばされる。何とか体勢を整えて着地するが、そこに更に衝撃がきた。
「あああっ!」
ザザザッと道路の上を転がる。
李苑はすぐに身を起こした。その彼女の目の前に、鋭く光る切っ先が。
「……何故、貴方がここにいるのですか……ジャクラ」
ゆっくり視線を上へ移動させる。
そこには髪の短い少年、羅刹王が立っていた。
「……ラクシュ」
羅刹王ジャクラは、静かに“ラクシュミー”の名を呼んだ。
「変わらないな、その瞳は。生まれ変わっても、綺麗なままだ」
穏やかな口調で語るその姿は、とても先程攻撃してきた者とは思えないくらい優しかった。
二千年前と同じ、無邪気で優しい、ラクシュミーの幼なじみそのままの姿だ。
「どうしてこんなことを?」
神々は皆、信頼で結ばれている。そうでなくても、ラクシュミーとジャクラのように幼なじみで特別に仲の良かった間柄の者もいるのに。
真吏は焦りながらも、静かな口調で訊いてみた。
「お前らには関係ない」
そう応えたのは羅刹王の方だった。
「だってお前達はこれから、俺たちに殺されるんだからな」
「──えっ……」
疑問に思う暇はなかった。
夜叉王の剣が高く上がったかと思うと、そこから物凄い勢いで水の波紋が広がった。
自らの周りに結界を張ってもなお、それに弾き飛ばされる。何とか体勢を整えて着地するが、そこに更に衝撃がきた。
「あああっ!」
ザザザッと道路の上を転がる。
李苑はすぐに身を起こした。その彼女の目の前に、鋭く光る切っ先が。
「……何故、貴方がここにいるのですか……ジャクラ」
ゆっくり視線を上へ移動させる。
そこには髪の短い少年、羅刹王が立っていた。
「……ラクシュ」
羅刹王ジャクラは、静かに“ラクシュミー”の名を呼んだ。
「変わらないな、その瞳は。生まれ変わっても、綺麗なままだ」
穏やかな口調で語るその姿は、とても先程攻撃してきた者とは思えないくらい優しかった。
二千年前と同じ、無邪気で優しい、ラクシュミーの幼なじみそのままの姿だ。
「どうしてこんなことを?」
神々は皆、信頼で結ばれている。そうでなくても、ラクシュミーとジャクラのように幼なじみで特別に仲の良かった間柄の者もいるのに。