FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
その叫びにも、圭一郎は笑ってしまう。紅葉の怒りはますます強くなった。
「圭一郎さん! 貴方があたしに総領になれって言ったのよね! こんな子供に任せていいのかとか思わなかったの?」
「いいえ、これっぽっちも思いませんでしたよ」
圭一郎はあくまで穏やかに答える。
「貴女はまだ気付いておられないだけなのですよ。ご自分の“力”がどれだけ強いのかということ、そして、一番総領に相応しい裁量の持ち主だということをね」
「気付きたくなんかないわ」
そう言って紅葉はそっぽを向く。
二人の会話を静かに見守っていた蓮は、フーッと息を漏らした。
「紅葉は総領に相応しいと思うよ。だって俺なんか、みんなが何話してるのか全然分かんないもん。今も紅葉がなんでそんなに怒るのか良く分かんないしさぁ」
そののんびりとした口調は、一旦落ち着きかけた紅葉の怒りに再び火をつけてしまった。
「だから来るなって言ったのよ!」
と、蓮に拳骨をとばすのであった。
しばらく車を走らせていると、対岸がかろうじて見えるくらいの小さな湖が見えてきた。夜の湖は不気味だ。明かりといえば月明かりくらいで、今にも何かが出てきそうな雰囲気がある。
「もうすぐですからね」
闇に包まれた湖の向こう側に飛高邸はあった。
「圭一郎さん! 貴方があたしに総領になれって言ったのよね! こんな子供に任せていいのかとか思わなかったの?」
「いいえ、これっぽっちも思いませんでしたよ」
圭一郎はあくまで穏やかに答える。
「貴女はまだ気付いておられないだけなのですよ。ご自分の“力”がどれだけ強いのかということ、そして、一番総領に相応しい裁量の持ち主だということをね」
「気付きたくなんかないわ」
そう言って紅葉はそっぽを向く。
二人の会話を静かに見守っていた蓮は、フーッと息を漏らした。
「紅葉は総領に相応しいと思うよ。だって俺なんか、みんなが何話してるのか全然分かんないもん。今も紅葉がなんでそんなに怒るのか良く分かんないしさぁ」
そののんびりとした口調は、一旦落ち着きかけた紅葉の怒りに再び火をつけてしまった。
「だから来るなって言ったのよ!」
と、蓮に拳骨をとばすのであった。
しばらく車を走らせていると、対岸がかろうじて見えるくらいの小さな湖が見えてきた。夜の湖は不気味だ。明かりといえば月明かりくらいで、今にも何かが出てきそうな雰囲気がある。
「もうすぐですからね」
闇に包まれた湖の向こう側に飛高邸はあった。