FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「何のために……ここに来たの?」
体を震わせながら紅葉は訊いた。
今まで殺気立って襲い掛かってきた者達が、今は雰囲気をガラリと変え、自分達の心配までしている。そのことへの疑問。
「ひとつは、阿修羅王の願いを叶えるため。もうひとつは、私達の願いを叶える為……」
「どういうことですか?」
十夜の治療を終えた李苑が、立ち上がりながら訊く。
その問いにはジャクラが答えた。
「言っただろう? お前達の運命を変えてやる、と。俺たちが干渉することで、もしかしたらこの戦いを終わらせられるんじゃないか、って思ったんだ。ヴァジュラと戦う前に完全に力を取り戻させようとしたんだが……。結局、同じ運命を辿っているわけだ……」
ジャクラは悔しそうに唇を噛んだ。
「だから今、決闘を?」
今度は夜叉王が静かに頷く。
確かに、彼らと戦う事で神であった頃の力を取り戻すことは出来た。だが、それ以上にヴァジュラも力を溜めているということだ。
神と闇に生きる者。
同じ運命を共にする敵同士、互いの力は均衡させなければならないというのか。
これでは、何をしても同じ道を辿ってしまう……。
「……蓮」
紅葉は小さく呟く。
同じ運命を辿るというのなら、蒼馬の次に命を落とすのは、恐らく……。
紅葉の結界を支える手に力がこもる。
体を震わせながら紅葉は訊いた。
今まで殺気立って襲い掛かってきた者達が、今は雰囲気をガラリと変え、自分達の心配までしている。そのことへの疑問。
「ひとつは、阿修羅王の願いを叶えるため。もうひとつは、私達の願いを叶える為……」
「どういうことですか?」
十夜の治療を終えた李苑が、立ち上がりながら訊く。
その問いにはジャクラが答えた。
「言っただろう? お前達の運命を変えてやる、と。俺たちが干渉することで、もしかしたらこの戦いを終わらせられるんじゃないか、って思ったんだ。ヴァジュラと戦う前に完全に力を取り戻させようとしたんだが……。結局、同じ運命を辿っているわけだ……」
ジャクラは悔しそうに唇を噛んだ。
「だから今、決闘を?」
今度は夜叉王が静かに頷く。
確かに、彼らと戦う事で神であった頃の力を取り戻すことは出来た。だが、それ以上にヴァジュラも力を溜めているということだ。
神と闇に生きる者。
同じ運命を共にする敵同士、互いの力は均衡させなければならないというのか。
これでは、何をしても同じ道を辿ってしまう……。
「……蓮」
紅葉は小さく呟く。
同じ運命を辿るというのなら、蒼馬の次に命を落とすのは、恐らく……。
紅葉の結界を支える手に力がこもる。