FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
絶対に、そんなことはさせない。
密やかな、強い決意を胸に秘めた。
聖は、ゆっくりと蒼馬の元へ向かっていた。
蒼馬の死を感じてはいても、どうしてもその目で確認しなければ気が済まなかった。
彼の気持ちが良く解った阿修羅王は、手足から血を滴らせながらも、聖の後をゆっくりとついて行った。
触手によって無数に空いた直径30センチほどの穴を避け、進んでいく。
4車線道路の中央分離帯の、すぐ傍。
蒼馬の体が横たわっていた。
紅葉の結界によって一帯から触手は排除された。だが、蒼馬が貫かれたという事実は消えることなく、彼の胸のあたりから流れ出たどす黒い大量の血が、広範囲に亘ってアスファルトを濡らしていた。
聖は、静かに蒼馬を見下ろす。
顔を苦痛に歪める間もなかったのか、落ち着いた、綺麗な眠り顔をしていた。
そっと手を伸ばし、頚動脈に手を当てる。
鼓動を感じない。
だが、つい先程までここにいた証として、僅かに体温が残っていた。
「蒼馬……」
目を閉じると、一粒の涙が頬を滑り落ちた。
しばらく蒼馬に触れたまま黙祷し、やがて立ち上がった。
「……紅葉の体が保たない。結界の外に出て、一気にヴァジュラを叩く」
密やかな、強い決意を胸に秘めた。
聖は、ゆっくりと蒼馬の元へ向かっていた。
蒼馬の死を感じてはいても、どうしてもその目で確認しなければ気が済まなかった。
彼の気持ちが良く解った阿修羅王は、手足から血を滴らせながらも、聖の後をゆっくりとついて行った。
触手によって無数に空いた直径30センチほどの穴を避け、進んでいく。
4車線道路の中央分離帯の、すぐ傍。
蒼馬の体が横たわっていた。
紅葉の結界によって一帯から触手は排除された。だが、蒼馬が貫かれたという事実は消えることなく、彼の胸のあたりから流れ出たどす黒い大量の血が、広範囲に亘ってアスファルトを濡らしていた。
聖は、静かに蒼馬を見下ろす。
顔を苦痛に歪める間もなかったのか、落ち着いた、綺麗な眠り顔をしていた。
そっと手を伸ばし、頚動脈に手を当てる。
鼓動を感じない。
だが、つい先程までここにいた証として、僅かに体温が残っていた。
「蒼馬……」
目を閉じると、一粒の涙が頬を滑り落ちた。
しばらく蒼馬に触れたまま黙祷し、やがて立ち上がった。
「……紅葉の体が保たない。結界の外に出て、一気にヴァジュラを叩く」