FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
力強い瞳に、阿修羅王はホッとしたような、情けない顔をする。

「お前たちの絆は深そうだったから……これ程早く立ち直るとは思わなかった。……強いな、お前は」

「強い?」
 
聖はその言葉に、蒼馬を振り返った。

「──違う。強いんじゃない。……このまま泣いてると、蒼馬に笑われるからだ……」
 
そう言って、聖は皆のいる方向へと走り出した。
 
阿修羅王は、その姿を眩しそうに眺める。

「そうだな。まだ、終わりじゃない」
 
軽く微笑んで、阿修羅王も走り出す。


 
同じ頃、これからのことについて話し合っていた紅葉達。


「蓮、圭一郎さんのところに戻って、休んでいた人達を戻すように伝えて」

「えっ!? 式神<しき>を飛ばせば」

「それじゃ、多分ヴァジュラの力に消されてしまうわ。アンタが行って」
 
紅葉は蓮にここにいて欲しくなかった。
 
ここにいると、ヴァジュラの餌食にされてしまう。
 
そんな紅葉の気持ちを知らない蓮はしばらく渋っていたが、やがて「分かった」と頷いて走り出した。紅葉はほっとする。和泉神社は結界のすぐ外にある。危険はないはずだ。

「人間ではヴァジュラの力を抑えきれん。私も手伝おう」
 
夜叉王はそう言って、紅葉の結界を支える手伝いに入る。

「じゃあ、私も手伝おう。今度は崩されたりしないよ」
 
やってきた阿修羅王が、それに加わる。

「んじゃ、俺も……」
 
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