FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「結界張ったまま動けるな!?」

「ああ!」
 
ジャクラの問いかけに、聖が答える。

「じゃあ一緒に来い! 増長天も! お嬢さん2人は後衛な!」
 
あまり戦闘を長引かせては結界が保たず、東京が、人間界が壊滅する。皆、ジャクラの意見に従い、素早く動き出した。


暴れ狂う触手は結界で弾き、避ける事はせず、一直線にヴァジュラに向かっていった。
 
まず、聖が最初に剣を振り上げる。
 
ヴァジュラも結界を張っているのか、あっさりと剣は弾かれた。
 
それを見たジャクラは手前で止まり、ありったけの“気”を剣に送り込み、大上段から振り下ろした。

だがそれもヴァジュラの手前で弾かれてしまう。そのすぐ後、真吏のカマイタチが飛んできたが、結果は同じだった。
 
ヴァジュラは不気味に微笑みながら、真っ白な手を聖に伸ばした。
 
ガッ、と鈍い音を立て、その手は弾かれる。
 
聖の結界の手前に張られた、李苑の結界が防いでくれたのだ。

結界はヴァジュラの手が触れたところから、ジュワジュワと黒煙を上げた。真っ白な手は肉まで溶かしそうな瘴気を纏っているのだ。
 
そのすぐ後、十夜の緋色の“気”がヴァジュラに撃ち当たった。しかし、顔色一つ変わらない。

 
一通り攻撃すると、互いに一旦離れた。
 
触手の動きも収まり、ヴァジュラの周りで蠢いている。

< 212 / 280 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop