FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
完璧に遮断されたはずの邪気。安全であるはずのこの場所。なのに──酷く胸騒ぎがする。
 
辺りに気を張り巡らす。
 
そんな蓮に気付いて、圭一郎は声をかけた。

「蓮くん?」

「……何か、いる……」
 
蓮は、体全部を神経にして、胸騒ぎの原因を探した。
 
ガシャン。
 
鎧の音。
 
微かに聞こえる。聞き覚えのある音だ──。

「妖魔がいる!」
 
サッと大剣を引き抜き、構える。それを見た神社に数人残っていた術者達も、戦闘態勢に入る。

「どこだ……」
 
姿が見えない。術者達の僅かな動揺が分かる。
 
蓮は出来るだけ落ち着いて、妖魔を探した。




「あそこだ!」
 
術者の一人が叫んだ。
 
一斉に声のした方に目がいく。
 
鎧を身に着けた獣の姿をした妖魔が、ゆっくりと境内の中に入ってきていた。

「ここまで入り込みますか……」
 
圭一郎はそう呟いて、構える。この神社は他の土地よりも神聖な力が働いている。そこに入り込んでこようとは……。
 
蓮は圭一郎の隣で剣を構えなおした。
 
そして、妖魔に一歩、近づいたところで──足を止めた。
 
何か、違う。
 
妖魔は確かにそこにいるけれど──邪気が、感じられない。

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