FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
そう言う紅葉にも、圭一郎は笑ってしまう。

確かに紅葉はまだ子供だが、総領の資質は十分にある。だから12歳という若さでその地位についた時も、並みいる大人たちを納得させたのだ。

それほどの実力を持ちながら、やはりまだ高校生なのだということを思い出させるギャップが、圭一郎にはおかしいのだった。

「紅葉さん、そろそろ蓮くんを起こしてください。最初に蓮くんの家の方にまわりますから」

「いいわ、今日はあたしの家に泊めるから。中まで運ぶの手伝ってください」

「分かりました」
 
そう圭一郎が返事をした時だった。
 
車のすぐ前に黒い物体が飛び込んできた。

「!!」
 
反射的にハンドルを切りブレーキを踏むが、それを避けることは出来なかった。ドンッという感触の後、車は茫々と茂る草の上を走り、樹木にぶち当たって停止した。
 
あまりの衝撃に、しばらくは誰も動けなかった。

「く、紅葉さん、大丈夫ですか!?」

「ええ……」

「蓮くんは!?」

「だ、大丈夫です……」
 
今の衝撃で目を覚ました蓮は、何が起きたのか分からずにいる。

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