FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「避けろ!」
ジャクラの叫びも空しく、触手は聖、真吏、十夜の体を次々に掠めていった。
それを肌で感じ取った李苑は、もう一度結界を張り直した。触手は弾かれ、その姿を消す。
「……今度は大丈夫なようだな」
ジャクラは一先ず安心する。
他の仲間まで失いたくない、と思ったのだろう。李苑の瞳は先ほどよりも強く輝いていた。
聖たちはかなりの重症を負っている。早く治療したいところだが、李苑はヴァジュラの凄まじい攻撃に、結界を支えるのでやっとだった。
恐らく、しばらく休めば自然に回復出来るだろうが──それまで結界を支える自信は、李苑には無かった。
「ジャクラ……」
李苑は静かにジャクラを呼んだ。
「どうした?」
ジャクラは李苑の正面に膝をつき、彼女と目線を合わせる。
「……時間稼ぎをしたいんです。一緒に、外に出ていただけますか?」
その申し出に、ジャクラは「駄目だ」と言うところだった。だが、次の言葉にハッと息を呑んだ。
「ヴァジュラは、私を攻撃できない……ですよね?」
僅かに見開かれたジャクラの目を見て、李苑は全てを理解した。
「やっぱり、そうなんですね」
「……知って、たのか」
「はい」
李苑は小さく頷く。
今、ヴァジュラの攻撃が李苑だけを擦り抜けたこと、阿修羅王がジャクラをこちらに遣したこと、そして、二千年前の記憶が一本の糸として繋がった。
ジャクラの叫びも空しく、触手は聖、真吏、十夜の体を次々に掠めていった。
それを肌で感じ取った李苑は、もう一度結界を張り直した。触手は弾かれ、その姿を消す。
「……今度は大丈夫なようだな」
ジャクラは一先ず安心する。
他の仲間まで失いたくない、と思ったのだろう。李苑の瞳は先ほどよりも強く輝いていた。
聖たちはかなりの重症を負っている。早く治療したいところだが、李苑はヴァジュラの凄まじい攻撃に、結界を支えるのでやっとだった。
恐らく、しばらく休めば自然に回復出来るだろうが──それまで結界を支える自信は、李苑には無かった。
「ジャクラ……」
李苑は静かにジャクラを呼んだ。
「どうした?」
ジャクラは李苑の正面に膝をつき、彼女と目線を合わせる。
「……時間稼ぎをしたいんです。一緒に、外に出ていただけますか?」
その申し出に、ジャクラは「駄目だ」と言うところだった。だが、次の言葉にハッと息を呑んだ。
「ヴァジュラは、私を攻撃できない……ですよね?」
僅かに見開かれたジャクラの目を見て、李苑は全てを理解した。
「やっぱり、そうなんですね」
「……知って、たのか」
「はい」
李苑は小さく頷く。
今、ヴァジュラの攻撃が李苑だけを擦り抜けたこと、阿修羅王がジャクラをこちらに遣したこと、そして、二千年前の記憶が一本の糸として繋がった。