FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「行って、いただけますか?」

「……分かった」
 
ジャクラは倒れる3人を横目で見ながら、頷いた。
 
結界を残したまま、ジャクラと2人、外に出る。

「ジャクラ」
 
外に出る瞬間、李苑はまたジャクラを呼んだ。

「最悪の事態になりそうだったら、迷わず貴方の仕事を遂行してくださいね」
 
まだ潤んだ瞳でそう言う顔は、キリッとした、力強いものだった。

「ラクシュ……そこまで、解っているのか……!」
 
ジャクラはギュッと拳を握り締めた。

 
2人の姿が結界内からスウッと消えて行くのを、呆然としながら眺めていた聖。

「待て……!」
 
一体何をするつもりなのか。
 
このまま行かせたら、紅葉や蓮のようになってしまうのではないのか?

「李苑っ……!」
 
ズルズルと体を引きずり、腕の力だけで前に進む。
 
しかし、結界というものは普通の3次元空間ではない。前に進んだところで、結界創造者の許可なしに外に出ることは出来ないのだ。
 
無理に起き上がろうとしても、ガクッと力が抜けて地面に倒れこんでしまう。

(何をする気なんだ……!)
 
ジャクラがついているとはいえ、李苑には攻撃能力がほとんどないのに。

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