FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「みんな……、逃げ、ろっ……」
十夜はその言葉を最後に、完全に意識を手放した。
どす黒い“気”が、結界内に充満していく。
「十夜!」
聖は叫んで、十夜に向かって走り出した。それをジャクラに止められる。
「待て、お前はラクシュに治療してもらうのが先だ! そんな状態では話になんねえ!」
塞がらない傷から大量に噴き出す血。今すぐにでも十夜を救わなければならないのに、それを赦さない自分の身体に苛立つ聖。
「聖くん、こちらに!」
李苑に手を引かれ、十夜とジャクラから離れる。
「真吏くんも座ってください!」
そう促され、真吏も腰を下ろす。その目線は十夜に向いていた。
「ヴァジュラめ……どこまで彼女を苦しめるつもりだ!」
いつも冷静なその顔には、確かな怒りが表れていた。
「十夜……!」
聖もギリッと唇を噛んだ。
そんな焦る2人に手をかざし、李苑は治療を開始する。白い光が傷口を、徐々に癒していく。
そこに、黒光りする夢幻球が飛び込んできた。
緋色に輝いていたはずの夢幻球。──完全にヴァジュラの支配下にある証だった。
夢幻球が光を放った瞬間。
聖と真吏は体を張って李苑を庇った。
「聖くん! 真吏くん!」
2人の体は、徐々に黒いモノに侵食されていく。体が動かなくなり、意識が朦朧としてくる。
十夜はその言葉を最後に、完全に意識を手放した。
どす黒い“気”が、結界内に充満していく。
「十夜!」
聖は叫んで、十夜に向かって走り出した。それをジャクラに止められる。
「待て、お前はラクシュに治療してもらうのが先だ! そんな状態では話になんねえ!」
塞がらない傷から大量に噴き出す血。今すぐにでも十夜を救わなければならないのに、それを赦さない自分の身体に苛立つ聖。
「聖くん、こちらに!」
李苑に手を引かれ、十夜とジャクラから離れる。
「真吏くんも座ってください!」
そう促され、真吏も腰を下ろす。その目線は十夜に向いていた。
「ヴァジュラめ……どこまで彼女を苦しめるつもりだ!」
いつも冷静なその顔には、確かな怒りが表れていた。
「十夜……!」
聖もギリッと唇を噛んだ。
そんな焦る2人に手をかざし、李苑は治療を開始する。白い光が傷口を、徐々に癒していく。
そこに、黒光りする夢幻球が飛び込んできた。
緋色に輝いていたはずの夢幻球。──完全にヴァジュラの支配下にある証だった。
夢幻球が光を放った瞬間。
聖と真吏は体を張って李苑を庇った。
「聖くん! 真吏くん!」
2人の体は、徐々に黒いモノに侵食されていく。体が動かなくなり、意識が朦朧としてくる。