FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
李苑は素早く聖たちから離れると、道路脇に植林された街路樹の元へ走った。
「お願い、力を貸してください!」
木にそっと触れると、木は枝をしならせた。そして、その枝を何メートルも伸ばし、十夜の体にぎっちりと絡みついた。
一本だけでなく、何十本という街路樹が李苑の願いを聞き届け、十夜の体を拘束した。十夜はそれから逃れようと、物凄い形相で暴れた。
飛び散る血に、李苑は顔をしかめた。
「十夜さん、今、助けますから……」
そう十夜に言うと、ジャクラに向き直った。
「ジャクラ……お願いします」
「……駄目だ!」
ジャクラは首を振る。
「今が最悪の状況です! 聖くんと真吏くんは深手を負った上に幻惑に落とされてしまいました。十夜さんも、このままでは命を落としてしまう! ……もう、誰も死なせたくないんです!」
「まだ、駄目だ……! まだ何とかなる!」
「いいえ……」
李苑は上を見上げる。
「ヴァジュラが結界を攻撃してきました。恐らく、このまま押しつぶして、私以外の皆を攻撃するつもりなんです。そうなったら、もう……!」
ジャクラに視線を戻し、李苑は懇願する。
しかし──ジャクラには判断がつかなかった。本当に……李苑を今、殺してしまってもいいのか。
「お願い、力を貸してください!」
木にそっと触れると、木は枝をしならせた。そして、その枝を何メートルも伸ばし、十夜の体にぎっちりと絡みついた。
一本だけでなく、何十本という街路樹が李苑の願いを聞き届け、十夜の体を拘束した。十夜はそれから逃れようと、物凄い形相で暴れた。
飛び散る血に、李苑は顔をしかめた。
「十夜さん、今、助けますから……」
そう十夜に言うと、ジャクラに向き直った。
「ジャクラ……お願いします」
「……駄目だ!」
ジャクラは首を振る。
「今が最悪の状況です! 聖くんと真吏くんは深手を負った上に幻惑に落とされてしまいました。十夜さんも、このままでは命を落としてしまう! ……もう、誰も死なせたくないんです!」
「まだ、駄目だ……! まだ何とかなる!」
「いいえ……」
李苑は上を見上げる。
「ヴァジュラが結界を攻撃してきました。恐らく、このまま押しつぶして、私以外の皆を攻撃するつもりなんです。そうなったら、もう……!」
ジャクラに視線を戻し、李苑は懇願する。
しかし──ジャクラには判断がつかなかった。本当に……李苑を今、殺してしまってもいいのか。