FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「聖くん……」
 
李苑の声に、聖は振り返る。

「李苑……駄目、だからな……。また、無茶しようとしたんだろ……」
 
ガクッと膝をつくので、李苑もその体を支えながら座る。

「駄目だ……もう、誰も、いなくなるな……」

「聖くん……」
 
李苑の瞳に涙が溜まる。
 
そこに、いくつか触手が結界を突き破って降ってきた。
 
聖達に襲い掛かった触手を切り裂いたのは、真吏だった。

「急げ、十夜を、元に……」
 
そう言い、真吏も膝をつく。

「はい!」
 
李苑は涙を拭うと、十夜の元へ駆け寄ろうとした。


だが。
 
そこで結界が完全に破られた。
 
雨のように降り注ぐ触手を防ぐ事が出来たのは、恐らくジャクラだけだったろう。
 
それが解っていた。
 
だから、引き返した。
 
酷い傷を負いながら、幻惑を打ち破り疲労困憊の仲間を護ろうとして。


「聖くんっ!!」

 
聖目掛けて伸びてきた触手は、その前に立ちはだかった李苑の胸を貫いた。
 
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