FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
攻撃を受けたショックで意識を失ったままの聖を、十夜に預けた。

「真吏、駄目だ! また私がおかしくなったら!」

「大丈夫だ。……李苑が命がけでヴァジュラの力を浄化したのだ。もう、大丈夫だ」

「だけどっ……」

「……賭けてみたいのだ」
 
真吏は穏やかな表情で言う。

「李苑の死で創造神にならなかった聖に。運命を変える力があるような気がするのだ。だから……聖に賭けてみたい。命を賭けて戦った仲間達の想いに報いるためにも」

「真吏……」

「おう、一人でカッコつけんな」
 
剣を肩に担ぎ、ジャクラが言った。

「最後まで付き合ってやるからよ」

「ジャクラ……」

「諦めんなよ。多分、もう運命は変わり始めているからな」

「えっ……?」

「分かるだろう?」

十夜、真吏は静かにジャクラを見た。

そして2人は顔を見合わせると、静かに頷いた。

この二千年の戦いの中で、ひとつ、大きく違うことが起こっている。

それは、7人の亡くなった順番。

最初の蒼馬までは同じだった。だが、次に命を落とすはずだった蓮より先に、紅葉が逝った。そして、最後まで聖と一緒にいるはずだった李苑も、もう、いない──。
 
それがどう関係してくるのか、今はまだ分からないけれど。

十夜はギュッと聖を抱きしめた。

聖に賭けてみよう。真吏の言う通りに。

「……2人とも、気をつけて」

「ああ」

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