FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
CHAPTER 18
「毘沙門天の“気”が、消えた……」
ギュッと拳を握り、阿修羅王が言った。
「また……私達は何も出来なかったのか……!」
小刻みに震える肩を、夜叉王はそっと抱きしめる。
「こうなったからには、天界から軍が派遣されるかもしれん。人間界に直接関わってはならないなどという掟も、破壊されては意味が無くなるからな」
「──それじゃあ、遅すぎる……」
何をしてももう遅い。
消えた命は、戻ってはこないのだから──。
聖の体は、深い闇をゆっくりと落ちていた。
とても静かで──何も聞こえない。何も感じない。手足の感覚もない。自分がここにいることすら解らなくなりそうな、そんな空間。
今まで何をしていたのかも、この深い闇の中ではどうでもいいことのように思える。
何も考えずにこのまま、心地良い眠りにつこうと目を閉じると──。
リィン。
透明な鈴の音が、微かに聞こえてきた。
リィン。
それは眠りにつくことよりも、心地良い音色。
(ここは……)
忘却の彼方に流れていきそうだった意識が、ゆるやかに戻ってくる。
(俺は……どうして……)
目の前が真っ赤に染まり、痛みを感じる間もなく、地面に叩き付けられて──。
(死んだ、のか……?)
ギュッと拳を握り、阿修羅王が言った。
「また……私達は何も出来なかったのか……!」
小刻みに震える肩を、夜叉王はそっと抱きしめる。
「こうなったからには、天界から軍が派遣されるかもしれん。人間界に直接関わってはならないなどという掟も、破壊されては意味が無くなるからな」
「──それじゃあ、遅すぎる……」
何をしてももう遅い。
消えた命は、戻ってはこないのだから──。
聖の体は、深い闇をゆっくりと落ちていた。
とても静かで──何も聞こえない。何も感じない。手足の感覚もない。自分がここにいることすら解らなくなりそうな、そんな空間。
今まで何をしていたのかも、この深い闇の中ではどうでもいいことのように思える。
何も考えずにこのまま、心地良い眠りにつこうと目を閉じると──。
リィン。
透明な鈴の音が、微かに聞こえてきた。
リィン。
それは眠りにつくことよりも、心地良い音色。
(ここは……)
忘却の彼方に流れていきそうだった意識が、ゆるやかに戻ってくる。
(俺は……どうして……)
目の前が真っ赤に染まり、痛みを感じる間もなく、地面に叩き付けられて──。
(死んだ、のか……?)