FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
ゆっくりと、目を開ける。
視線だけを動かして辺りを伺うと、そこは飛高邸の二階の一番東にある部屋で、聖が使わせてもらっている部屋だとすぐに分かった。
(……朝?)
まだ頭がボーッとしている。
しばらくして頭が冴えてくると、もう朝ではないことが分かった。
カーテンの隙間から見えるはずの朝日が見えなかったし、何よりベッドの横に置いてある時計は11時を指していた。
(どうしたんだっけ……)
またしばらく考える。そして昨日の出来事を思い出した。
(そうだ。急に頭が痛くなって倒れたんだ)
そこまで思い出してからゆっくりと起き上がり、部屋を出て階下のリビングに入った。
リビングには誰もいない。テーブルの上には白いメモ用紙が置いてあった。
『買い物に行ってきます。その間に起きた時には、キッチンに食事を用意しておいたので、レンジで温めて食べてください』
メモ用紙にはそう書いてあった。
「買い物?」
聖はしばらく考える。
「……ああ、今日、日曜日か」
長く学校に行っていないと曜日感覚が狂う。今日も平日のような気がしていた。