FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「おい、空を見ろ!」
 
シーファーの叫びに皆上空を見やる。先程までは雲ひとつない、澄み切った青空が広がっていたのに、赤黒く光る雲に覆われているではないか。
 
その黒い雲は渦を巻きながらゆっくり、ゆっくりと地上に向かって降りてきている。

「何だあれは……」
 
見上げていると、魂ごと暗雲に吸い込まれていきそうな感覚に襲われた。ただ視界に入れているだけなのに、心まで凍りつきそうだ。

「四天王!」
 
そこへ、何者かが駆け込んでくる。
 
天帝の側近である、帝釈天<たいしゃくてん>ラグウルだ。

「ここにいたか……」

「どうした?」

息を切らし駆け込んできた帝釈天に、只事ではない事態を察知する。

「く……無念だ。……天帝が、何者かに……殺された」

「何っ!?」
 
その言葉に、皆衝撃を受ける。

「馬鹿な! そんなことがあるわけがない!」
 
ラディウスが叫ぶ。
 
天帝──神々の頂点に立つ、天界の王。その天帝が何者かに殺害されたなど、誰が信じるものか。

「冗談でこんなことが言えるか! 四天王、お前たちの同志、広目天も天帝のお傍で……亡くなっていたのだぞ。おそらく天帝をお護りしようとして……」

「なっ……」
 
更に衝撃が広がる。

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