FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
皆信じられない思いに駆られた。自分たちの気付かない間にこれだけのことをやってのける者がこの世にあるなんて。
 
ざわり、と全身に鳥肌が立った。
 
空から降臨してくる敵は、恐ろしい程の力を持っている。

 

その動けない間にも、暗雲の中から凄まじい“気”が打ち落とされ、炎の海を造りだしている。

(このままでは駄目だ……)
 
ティージェは自分の頬を両手で叩き、気合いを入れる。

「あれが敵らしい。攻撃を仕掛けてみる。地上の民を避難させてくれ」
 
ラディウス、シーファーに指示を出すと、彼らはすぐに頷いて須弥山を降りていった。それを見送ってから、空に手をかざした。

すると大気がうねり、かざした手のひらに1メートル20センチ程の長さの剣が現れる。

剣の柄をギュッと握り締めると、そこへ体中から搾り出した“気”を送り込む。そしてそれを天に向かって一気に撃ち放った。
 
“気”はドウッと音をたてて暗雲にぶち当たり、次に大きな爆発が起きた。真っ赤な炎が暗雲を包んでいく。それを見ながら全速力で走った。
 
空がカッと光る。

ティージェ目掛けて幾つもの“気”が飛んでくる。

それをかわしながらさらに走り、思い切り地を蹴ると、周りに見えている山と同様、空に浮かんでいる須弥山を飛び降りた。
 
落下の途中でピュッと口笛を鳴らすと、どこからともなく背に翼を生やした白馬が猛スピードでやってきて、ティージェを背に乗せた。

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