FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
一族を失った者にどんな言葉を投げかけても慰めにはならないだろう。

そして、神族を滅ぼすことの出来る程の力の持ち主である暗雲の主に、改めて恐怖を覚えるのだった。

「こちらで戦える者は何人いるんだ?」
 
自分の私怨では動けないと、ファリアは戦況を確認する。

「おそらく期待できるのは俺たち四天王と、あとごく僅かだ。天界は平和に慣れすぎている。こんな緊急事態に対応出来る者は少ないだろう」

「……天帝の護られていた天界は本当に平和な、良い御世だった。それが仇になるとは……皮肉なものだな」
 
ファリアはフッと皮肉な笑みを浮かべた。ティージェはそれを横目で見ただけで、何も答えなかった。

「すまない。少し悲観的になっているようだ」

「いや……」

「先程アナリスとラクシュミーに会った。居住区に結界を張ると言っていた」

「そうか」

「それから、レイガンは一族の者を避難させたらすぐにでも応援に来ると言っていた。……まったく、いつもながら一人で先走るなよ。あれが計り知れぬ力を持っていることは感じ取っているのだろう?」

「ああ。すまない」
 
いいのか悪いのか、この混乱のおかげでファリアの悲しみは少しずつ和らいでいる。悲しむ程のゆとりを、敵は与えてくれない。

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