FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
風が、不気味な空気を運んできた。
 
そうかと思うと、暗雲の中から人が現れる。いや、人ではない。邪悪な気をその身から噴出し、不気味に微笑む“それ”は、赤い目を鈍く光らせた。

「フフフ……」
 
笑い声が地に低く響く。

「今の衝撃はお前か?」
 
言いながら手の中で炎を創り出し、ティージェに向かって放った。それを結界を張って防ぐ。

「もはや天界は私のもの。抵抗は無駄だ」

「黙れ!」
 
ティージェは未だ結界の手前で燃え盛る炎を、自分の“気”をぶつけて打ち消す。

「ふざけた事を。お前は何者だ」

「私か。私は妖魔。闇の空間で生まれた、闇に生きる者」

「何が目的でこんなことをする!」

「私が欲しいのは誰にも負けない力。力でこの世を全て我が物にするのだ。その為にはまず、邪魔者を排除しなければな」

「何て事を……」
 
その為に世界を統治する天帝を抹殺し、世界の護り主である神々を滅ぼそうというのか。

「そんなことはさせない。貴様に殺された一族の恨み、はらさせてもらう!」
 
ファリアは怒り、叫びながら空へと飛ぶ。
 
しかし妖魔の力はファリアを大きく上回っていた。あっさりと攻撃をかわされ、跳ね飛ばされる。

「ファリア!」
 
落ちてくるファリアを受け止めようと走るが、その先に人影があるのに気付き、足を止めた。

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