FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「……聖」
自分を呼ぶ声に、うっすらと目を開ける。
「こんな真っ昼間から寝る馬鹿者があるか。しかも何故床で寝ている」
叱責の声は真吏のものだった。
どうやら床に突っ伏していたら、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
「うー……何?」
眠い目をこすりながら起き上がる。
「本当に寝起きの悪い奴だな。何回呼んだと思っている」
「……10回くらい?」
「37回だ」
「……」
そんなに根気良く名前を呼んでいたのだろうか。真吏はいつも真顔なため、冗談なのか本気なのかまったく分からなかった。
「頼みたいことがあるのだが、良いか?」
「いいよ、何?」
「今、紅葉たちと夢の話をしていたのだが……」
そこで聖は顔を上げる。
「……ちょっと待て、紅葉〝たち”!?」
「ああ。他にもいたのだ。同じ夢の共有者が」
「誰!?」
「蓮。それから蒼馬だ」
「蒼馬も……?」
蓮にも驚くが、何より親友の蒼馬までもが同じ夢を見ていたことに驚く。
「ただの偶然にしてはおかしいと思うであろう?」
「ああ……」
「そこでだ。今まで見た夢をなるべく時間の経過の通りに書き出してはくれぬか? そうすれば我々がこの夢を見ている意味が掴めて来るのではないかと思ってな」