FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
右手で柄を握り締めると、驚くほど手によく馴染んだ。それを両手で持ち直し、上段に構える。
 
そして、その言葉を言う。
 
自分の、最強の呪文を。

「爆炎煌<ばくえんこう>っ!!」
 
同時に勢い良く剣を振り落とす。
 
ドオオオオッッ、と激しい音をたて、地に沿って炎が走った。

「──!!」
 
それは少女を直撃せずに、その手前で爆発した。技を放った聖までもが吹き飛ばされるくらい、強い爆風が吹き荒れた。

(す、すげえ……)
 
地面に叩きつけられながらも、その威力に驚く。
 
もくもくと砂埃の立ちこめる中に、李苑の姿を見つける。

同じように飛ばされたのか、地面に横たわっていた。

それを助けようと、体を起こそうとする。しかし、何故かピクリとも動かなかった。

(どうしたんだ……?)
 
地面に倒れたまま目線だけを少女のいたところに移す。そこには少女の姿はなかった。

どうやら逃げたらしい。ホッと胸を撫で下ろし、また李苑に視線をやる。

彼女はふらつきながらも起き上がれたようだ。きょろきょろと辺りを見回している。

「り、りえ、ん」
 
舌もまわらなくなっているらしい。うまく声が出せない。しかし聖の声は李苑まで届いたらしく、それに気付いてやってきてくれた。

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