FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「皆、何か……?」

「聖……どうやって治したのあの傷!?」
 
蓮が声を上げる。

「え? 傷、ほとんどないけど……」
 
聖はまだ訳が分からない。

「いえ……聖くんの傷は、骨まで達するくらいの、酷いものでした」

「そうだよ、すっげー焦って、救急車呼んだんだから。無理言って帰してもらったけど……」

「でも……」
 
この掠り傷がそんなに深い傷に見えるはずもなく、混乱する。

「──聖!」
 
真吏が珍しく大声を上げる。見ると、彼は聖の腕を指差していた。
 
その腕を見て、全員が驚愕した。
 
先程までは確かにあった赤い線──傷が、この数分の間に綺麗さっぱり消えていたのだ。

「どうしたのー?」
 
紅葉が騒ぎに気付き、キッチンから出てくる。
 
そして聖の腕を見て、皆と同じように驚いた。

「治っちゃったの…? 嘘……」

「物凄い回復力だな。常人では考えられないことだ」
 
ふう、と一息ついてから真吏が言った。
 
確かに骨まで達する程の傷が、僅か一日足らずで治るはずが無い。そんなことが本当にあったら、それはもうすでに、人間ではない。

(人間じゃ……ない)
 
初めて実感する。
 
前世が神だということはどういうことなのか。力があって、人間離れした動きも出来て、変な技も使えて、おまけに傷は恐ろしいほどの早さで治ってしまう。

それが、どういうことなのか。

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