FORTUNE~フォーチュンシリーズPAGE1
「もしかして私、また心を読んでしまったのですか?」

「……そう」
 
そう言うと、李苑はカーッと顔を赤くして、聖から逃げるように遠ざかった。

「李苑?」
 
追いかけようとすると、李苑は振り返った。

「ごめんなさいっ。私、何て失礼な事を……」

「は?」

「心を読むなんて、大罪です! 力をコントロール出来るようになるまでは誰にも会わないようにします。本当にごめんなさい!」
 
と、勢い良く頭を下げると、飛高邸を出て行ってしまった。

(……なんか、かわいい人)
 
何だか笑ってしまう。確かに他人の心を読むなどいけないことだ。嫌がられるだろう。

しかし、李苑を責める気にはならなかった。彼女の誠実さがそうさせているのだろうか。



「あれえ、李苑ちゃんは?」

キッチンから蒼馬が出てきた。

「ああ……何か、帰るって」

「えー? 帰るならご飯食べてからでもいいのに」

「うーん、あのな……」

「うわあああっ」
 
聖が言いかけた時、突然キッチンから叫び声が聞こえてきた。この声は蓮だ。

「なっ、何なのよー!」
 
紅葉の困惑した声も聞こえてくる。聖と蒼馬は顔を見合わせ、同時にキッチンに飛び込んだ。
 
そこで2人が見たものは、空中に水が舞い上がり、自由に飛び回っているという、世にも奇妙な光景だった。

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