平凡太~ヘイボンタ~の恋
「栞?」


「どうしよう…っ…っ…。あたし…取り返しがつかない…!」


「何があった?」


「みんな…みんな一華先輩のせいっ!平太先輩があたしを見てくれなかったせいなんだからッ」


ボクも一華先輩も、あれ以来ろくに栞と顔も合わせていない。


取り返しのつかない何かをなすりつけられる覚えなどなかった。


「あたし…。あたし、妊娠しちゃったの…!」


「…え………?」


耳を疑った。


泣き叫びながら妊娠したと言ってるのは、きっと望んだ子を授かったわけじゃないという事…だよな?


「栞、わからないよ。ちゃんと話してごらん?」


栞は涙を払って大きく呼吸を繰り返すと、ボクを見て重い口を開いた。
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