平凡太~ヘイボンタ~の恋
「栞、病院には…?」


「怖くて…行けないんです…」


「早めに病院に行くべきだよ。先の事、考えなきゃならない」


「平太先輩…。一緒に行ってくれますか?」


「ボクが?」


「1人じゃ行けないの。お願い、栞、もう平太先輩にも一華先輩にもつきまとわないから…!だから最後のお願い…。一緒に…病院へ行ってください…」


ボクには無関係な“子”。


栞の勝手も、宿したかもしれない“子”も、ボクには関係ない。


それでも。


栞がボクを諦め一華先輩に関わらないと言うなら…。


「栞、約束できる?」


「ハイ…。もう栞、何もいらないから!だから…っ…っ…お願いです…」


「わかった。明日仕事休んで病院に行こう。ただし、ボクができるのはそこまでだからね?」


「わかってます…。栞はもう何もいらない…。早くこの子を堕ろして…栞は…栞は…!」


ベッドに伏せた栞を置いて、ボクはアパートを出た。
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