平凡太~ヘイボンタ~の恋
「宍戸係長には…?」


「あんな男、願い下げです。栞の美貌なら、子持ちでも寄ってくる男なんていくらでもいるでしょ?」


「うん。そうだな」


「じゃあ、これでサヨナラ。今から退職届出してきます」


「栞」


「ハイ…?」


「ボク、何もできないかもしれないけど…。困った事があったらいつでも相談にのるから。だから1人だと思わないで」


「フフッ。1人じゃないもん。“2人”です、よ?」


「うん」


「平太先輩」


「ん?」


「大好きでした。サヨナラ」


「子供…!」


「え?」


「産まれたら抱かせてくれよ、な?」


栞は返事をせずに背を向けてゆっくりと屋上から去って行った。
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