平凡太~ヘイボンタ~の恋
「これでもしっかりしてるのッ。ホラ、佐藤くん、首かしてっ」


「?」


先輩の手でスルリとほどかれたボクのネクタイ。


先輩は背伸びしながら小さな手で、ボクのネクタイを締め直してくれた。


「どう?あたしだってちゃんとできるんだからっ」


「あ、ども…」


「あーぁ。あたし先輩なのに、大失態」


「みなさん、先輩の胸元見てましたもんね?」


「えっ!?ホント!?」


「あ、なんでかはわからなかったんですっ!まさかブラが見えてるなんて思ってもみなかったから…」


「えっ!!見えた!?」


「あっ、いや…!ちょ、ちょっと…」


「はぁ…。あたしってば佐藤くんの言う通り、ちょっと足んないのかも…」


「だ、大丈夫ですよっ。誰にも先輩のブラがブルーだなんて言いませんからっ」


「コラ、平太ッ!」


「…プッ」


そんなやり取りの昼下がり。


ボクは。


ブルーのブラと一華先輩の真っ赤な顔が。


焼き付いて離れなかった、入社初日。


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