平凡太~ヘイボンタ~の恋
右隣に一華先輩がいるけど、仕事以外の会話はない。


職員の動態、出勤整理簿、出張確認、厚生、秋には監査がはいるから書類の山に埋もれながらひたすら紙とパソコンの往復。


残業は会議室を使って会計と帳尻を合わせながら仕事を進める。


「宍戸係長、営業の庶務から書類あがってきました?」


「まだ間に合ってないんだとよ」


「参りましたね。一番気を遣う課なのに」


今日は会議室にはボクと宍戸係長だけが残業。


栞の一件があって以来、どうしてもこの人が好きになれない。


まぁ、前からインテリ風を気取った軽さが生理的に受け付けなかったけど。


でも、栞も宍戸係長にこだわりはないようだし、ボクも仕事は仕事、そう思って割り切っていた。
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