平凡太~ヘイボンタ~の恋
「改めて、辻野さんから自己紹介」


「あ、ハイ。辻野 栞(ツジノ シオリ)です。慣れるまでご迷惑おかけしますが、ご指導ご鞭撻、よろしくお願いします」


拍手が起こって、全員グラスを高く上げる。


「「「カンパーイ!!」」」


飲み会スタート。


ボクの右隣には、一華先輩。


小野寺主任にしつこく声をかけられていたが、一華先輩は肩をすくめて見せるだけで、ボクのシャツを小さくつまんで離さなかった。


反則だよなぁー…。


このつまんだ小さい手。


派手なネイルのない、指輪のない手。


酔った勢いまかせに握ってしまおうかと思うけど、“平凡太”のボクにはそんな度胸すらナイ。


参るよ…。
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