平凡太~ヘイボンタ~の恋
「平太くん?」


「あ、ハイ?」


「お刺身、ツブ食べられる?」


「ハイ」


「あたし、苦手なの。残しちゃうともったいないから、あげる」


「ありがとうございます」


「あっ!コラ、平凡太!」


「あ、小野寺主任」


「一華ちゃん独り占めなんて、ズルイぞッ」


「いえ…そんなつもりは…」


「どんなつもりだか知らねーけど、そこ、どけっ!オレが一華ちゃんの隣なんだよっ」


───ツンッ


座布団を離れかけると、シャツの裾を遠慮がちにつまむ一華先輩の手。


で。


すがるような目。


これじゃあ、さ。


離れらんないよ、な…。
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