平凡太~ヘイボンタ~の恋
言われてみれば。


拾った定期券を届けたっけ。


あの時のコが辻野さんだったんだ。


「駅、同じなんですねぇ?」


「そうみたいだね」


「ウフフッ。じゃ、今日は帰りも一緒になっちゃいますねぇ?」


「まぁ…そうなるか、な」


「一緒に帰りましょーねっ!じゃ、あたし、他の方のお酌回り行ってきまぁす」


「あ、うん」


そう言うと辻野さんは一華先輩のグラスにビールを注ぐ事なく、他のグループへ


「失礼しますぅ」


と、甘ったるい声で割り込みに行った。
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