平凡太~ヘイボンタ~の恋
「何もかもあたしの都合のいい解釈なんだけど、ね。それでも良かった。愛し合った“彼”との証があの子、それで全部スルッとほどけたの」


「はい」


「それから懸命にあの子と生きてきた。今の会社に勤めて、もちろん両親の協力もあってみんなで精一杯。そのご褒美なのかな…。平太くんがあたしの前に現れたの」


「ボク…?」


そこまで言うと一華先輩はタクシーをつかまえて乗り込んだ。


「平太くん、乗って?」


「ハイ…」


行く先を告げて走り出した車内では、会話はなかった。


激しい雨のたたく音と、ワイパーの往復。


暗い夜道を走った車は、一棟のアパート前へ。


そこで降りたボク達は、アパートの一室へ入る。
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