平凡太~ヘイボンタ~の恋
「ここ…?」


「うん。あたしとあの子の家」


そう言って一華先輩は、チェストに置かれた写真立てをボクに見せた。


一華先輩に抱かれた、肩ほどまでの髪を結ったパッチリした目の愛らしい子供。


「詞音(シオン)。3歳の女の子でね、“彼”に目元がそっくりなんだぁ」


「そうなんです、か…」


「今日は両親に預かってもらってるの」


「はい」


「“彼”がいないってわかってるせいかな。すごくいい子なんだ。あたしにはもったいない、天使みたいな子」


「子供の事、よくわかりませんけど…。かわいいですね?」


「うん。で、ね。今日“彼”の命日なんだ」


「───え?」


「3年前の今日、“彼”はいなくなったの」


一華先輩は奥の部屋へボクを手招く。


小さな仏壇と遺影。


遺影の写真を見て、ハッとした。


その顔はまるで…ボクと重なる程よく似ている。
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