平凡太~ヘイボンタ~の恋
「平太せぇんぱいっ!」


「あ、辻野さん」


「居残りさんですかぁ?」


「ううん。今、一華先輩と帰るところ」


「ふぅーん…。ね、あたしもご一緒してもいいですかぁ?」


辻野さんがいるとボクは『友詞』になれない。


「いや、駅と逆方向だし」


やんわりと断ったつもりなのに、辻野さんはボクの腕に絡まる。


「一緒に歩けるトコまでっ。ねぇ、いいですよ、ねっ♪」


そう言って辻野さんはもうすでに帰るつもりだったのか、私服に仕事に来るには似つかわしくない派手なバッグをボクに押しつけた。
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