平凡太~ヘイボンタ~の恋
「辻野さん、何が言いたいの?」


「栞はぁ、ただ欲しいだけ」


「何が?」


「平太先輩が欲しいのっ♪」


「辻野…さん…?」


「ねぇ、取り引きしません?平太先輩と一華先輩がウソんこカップルだって事、黙っててあげる。その代わりぃ」


「何?」


「平太先輩の気持ちは、栞にちょうだい?」


気持ちなんて。


そんな簡単には動かない。


一華先輩は『友詞』としてのボクしか見てないだろうけど、ボクは違う。


一華先輩を一華先輩として好きだったんだ。


入社してからずっと今日まで。


『友詞』しかいらないって事はわかってる。


それでも。


影を重ねてほしい。


『友詞』とボクの影を。
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