平凡太~ヘイボンタ~の恋
「平太せんぱぁい?」


「………」


「明日のお休みはデートしてくれるんですよねぇ?」


「ゴメン、時間ないんだ」


「栞、何着よっかなぁ♪うんとおめかしして待ってますネ!」


…まるで通じちゃいない。


「栞」


立ち止まって栞の目を見つめる。


「フフッ…。ここでキスしてくれるんですかぁ?」


「じゃなくて。ちゃんと話がしたい」


「栞、面倒な話は嫌いなの。平太先輩がいてくれれば栞は何もいらないんですよぉ?」


「あのさ、もうやめよう」


「やめない」


「栞はかわいいし、何もボクみたいに地味で平凡な男じゃなくてもいいだろ?一華先輩は…一華先輩はボクじゃなきゃダメなんだ」


「栞も平太先輩じゃなきゃダメ。明日、家で待ってますねぇ?じゃあ!」


それ以上話を聞きたくないのか、栞は駅へ1人で走って行った。


全く手に負えない。


ワガママもないものねだりも、ここまでくるとストーカーの域だ。


仕方ない。


明日、栞の家へ行ってわかってもらえるまで話し合うしかない。
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