平凡太~ヘイボンタ~の恋
「詞音、パパはここにいるから、ゆっくりお休み」


「うん。ねぇ、パパ?」


「ん?」


「指切りげんまんしてぇー」


「何の指切り?」


「もうママを泣かせちゃダメの指切り」


「うん、いいよ」


「指切りげんまん ウソついたら 針千本のーますっ。指きった!」


熱で熱くなった指を離すと、詞音ちゃんは安心したようにまた眠りに落ちた。


その安らかな寝顔を見て思う。


一華先輩はどれほど詞音ちゃんを愛しているのか。


詞音ちゃんはどれだけ一華先輩を必要としてるのか。


2人は。


どんなに『友詞』を恋しがっていたのか。


“ママを泣かせちゃダメの指切り”


伝わる詞音ちゃんの真っ直ぐな心。


ボクは誓うよ。


君達2人の『友詞』になる、と。


たった今から。


ボクは詞音の『パパ』だよ。
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