平凡太~ヘイボンタ~の恋
手早くテーブルに次々と並べられる詞音ちゃんのお粥と、チンジャオロースとご飯、みそ汁、大根サラダ。


「「「いただきまーす」」」


3人で食べる初めての食事。


腹だけじゃなく心まで満たされる食事に“なんちゃって家族”の幸せを噛み締める。


一華先輩ん家で一華先輩の作った手料理。


マジ幸せだしッ!!


「友詞、おかわりは?」


なんてセリフ。


『友詞』似の平太で良かったと思わずにはいられない喜び、と。


真逆にボクを、平太を見て欲しいという思いは。


欲張りだよ、な。


そもそもボクは一華先輩に見て欲しいと思えるような物は何も持ってない。


男らしさも頼もしさも、凛々しさも力強さも。


だから。


ボクはうわべだけの『友詞』。


所詮皮を被った偽物だ。
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