平凡太~ヘイボンタ~の恋
こうしていると。


あの夜を思い出してしまう。


「友詞…!」


そう呼んでのけぞった一華先輩のカラダ。


でも抱いたのは。


『友詞』の影のボク。


影でいい、そう思ってた。


影でいなくちゃ、そう思ってた。


だけど今は、今だけは。


平太として一華先輩の手が唇が…欲しい。


許されない、わかってる。


ボクとしてのボクは拒絶される、そんなのもわかってる。


だけどこの胸の内を。


打ち明けられずにはいられなくて。


「あ、あの…一華、先輩…」
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