平凡太~ヘイボンタ~の恋
「平太先輩!今日はきっと来てくれるって思ってましたぁ♪」


「そうじゃないんだ」


「ううん、平太先輩は栞に会いに来てくれたの。間違いないの」


玄関先で話を済ませようと思ったのに、栞はボクの手を引いて家へ上げた。


「約束したでしょ?オムライス作ったんですぅ。食べてくれますよねぇ?」


約束した覚えなんて、これっぽっちもなかった。


独りよがりな栞が滑稽に見える。


「栞、ちゃんと聞いてほしい」


「イヤ」


「ボクは栞を好きにはなれないよ」


「イヤッ!栞は平太先輩が欲しいのッ。何?その格好!仕事帰りのまま一華先輩の家!?泊まって栞の所に来たんでしょ!ヒドイッ。二股で浮気で不潔!!」


「そうじゃないだろ?」


「抱いたの?」


「してないよ」


「ウソ!!一華先輩の匂いでいっぱいだもんっ!ねぇ、どうして平太先輩は一華先輩じゃなきゃダメなの!?栞がこんなに思ってあげてるのにッ!!」
< 69 / 164 >

この作品をシェア

pagetop