平凡太~ヘイボンタ~の恋
「食べないの?」


「あー…なんか。情けないくらい緊張で」


「男の子が昼にパン食なんて、夜までもたないよ?」


「です、ね」


「ね、良かったらあたしのお弁当と交換しない?」


「えっ?」


「フフッ…。あのね、朝急いでてお父さんのお弁当と間違って持ってきちゃったの。食べきれないし、あたし、そのサンドイッチ欲しいカナ」


「あ…。こんなんで良ければ、どうぞ」


「アリガト。じゃ、コレ、どうぞ」


「ありがとうございます」


交換されたサンドイッチと弁当箱。


なるほど、女子が持って来るにしてはサイズが大きいし、色気が足りない。


「嫌いな物があったら、無理しないで残してね?いただきまぁす♪」


「いただき…マス」


ふりかけの乗ったご飯、甘めの卵焼きにピーマンの肉詰め。


大学からの一人暮らし、人の手料理を食べるなんて久しぶりで。


そのあったかさに緊張も解けて完食。
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