平凡太~ヘイボンタ~の恋
金曜、終勤後、ボクは荷物を抱えて一華先輩の家へ。


「パパー!」


「ただいま、詞音」


「ずーっと待ってたんだよー?パパはお仕事忙しいんだね?」


「うん、ごめんな?ハイ、コレ、お土産のケーキ」


「うわぁ!ママ、ケーキだよー!」


「良かったわね、詞音」


詞音ちゃんがケーキの箱を覗いてどれにしようか迷ってるのを見て、自然に笑みがこぼれる。


子供ってすごいな。


詞音ちゃんの一喜一憂が余すとこなく大人に伝染する。


笑って、伝わって、笑える。


こんな小さなからだに秘められたパワーに。


子供を知らないボクは振り回されっぱなし。


可愛くて、愛しくて。


ボクはケーキの箱を覗く詞音ちゃんを力いっぱい抱き締めた。
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