平凡太~ヘイボンタ~の恋
仕事と一華先輩と詞音ちゃん。


ボクは満たされていた毎日を送っていたのに、ある日、事件は突然に起こった。


昼休み、社食で昼飯を終えて総務のフロアに戻ると、奥の給湯室に人だかり。


いつにない騒がしさだったけど、ボクは特に気にとめる事もなく、目の前の書類に目を通していた。


「オイッ、平凡太!ちょっと来い!」


「あ、小野寺主任、どうしたんですか?」


「いいから来いッ」


強く腕を引かれて、給湯室へ向かった。


人だかりはボクを見ると道をあける。


みんなの集中した視線の先には…一華先輩と…。


栞。


「ヒドイじゃないですか」


「うん…。辻野さんの言う通りかもしれない…」


「卑怯ですよッ!子供使って平太先輩を釣るなんてッ!!」


───!?


栞…?


「一華先輩本人で勝負しないで子供押しつけて平太先輩の同情ひこうだなんて、ズルイですッ!!」


「栞…!」


「平太先輩!ねぇ、そうなんでしょ?子供持った一華先輩に同情してつき合ってあげてるだけなんでしょ!?」


「栞、それは違う」


「何が違うの!?平太先輩、この人に利用されてただけじゃないですかっ!」


「栞!!」


───パシンッ!


栞が一華先輩の頬をぶつ。


「卑怯者ッ!!」


憎々しいセリフを吐いて、栞は給湯室を出て行った。
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