平凡太~ヘイボンタ~の恋
*いらなくなった影*
あれから栞は仕事を休みがちで。


仕事帰りに話し合おうと栞の家へ寄ってみたりしたけど、そのドアが開く事なく、3週間が過ぎた。


週末、変わる事なくボクは詞音ちゃんと一緒。


一華先輩はスーパーへ買い出しに行っていた。


「ヨシ、詞音。今日はどこがいい?」


「あのね、パパ?」


「なんだい?詞音?」


「パパはまた天国に行っちゃうの?」


「なぜ?」


「ママがね、笑わないの」


そう。


あの日───栞が全てをぶちまけたあの日から、一華先輩の笑顔が消えた。


ボクも気づいてはいたけど、何ができるわけでもなく、どうする事もできない日々を過ごしていた。


でも、笑わないのは会社にいる時だけで、詞音ちゃんの前ではいつもと変わらず優しいママでいるんだと思ってたのに…なぜ?
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