平凡太～ﾍｲﾎﾞﾝﾀ～の恋

「ママがご飯作ってる間、プリキュアのパズルしよっか?」


「うんっ!」


小気味よく響く包丁の音に心を寄せながら、久しぶりの詞音ちゃんと遊ぶ。


会えなかったのはたった２週間なのに、な。


ギリギリまでパパに会えなかった我慢を越えた詞音ちゃんに、成長を感じた。


立ち止まってるのは、ボクだけ、か…。


「ハイ、お待たせ。今日は天ぷらでーす」


食卓テーブルについて注がれるビールと天ぷら。


さつまいもの天ぷらばかりを欲しがる詞音ちゃんをたしなめる一華先輩が、少し、遠く感じる。


変だな、ボク…。


２人はこんなに近くにいるのに。


手を伸ばせばいつだって抱き締められるのに。


距離を感じさせる眼鏡をはずして、左手を詞音ちゃんの頭に乗せ、右手で一華先輩の手を取った。